QE-LABO 札幌でフリーコピーライター/デザイナーとして活動する五十嵐渉による、
問い(Question?)と気付き(Exclamation!)の発信基地。いろんな問いをお届けします。

『インパクトカンパニー』を読んで

著=神田昌典、版=PHP
ビジネス書を読んだというよりも、小説を読んだという感覚でした。
それはこの本の中で神田昌典さんがおそらく一番伝えたかったであろう「シナリオ構成力」という技術、その効果を伝えたかったからだと思います。
特に「変われるわけがない」「変わろうと思えない」という人たちの心を揺さぶって、変化への一歩を踏み出させることに注力したのだろうなという本だったと思います。
著者の本は今までにも何冊か読んできましたが、正直今までにそれほど感銘を受けたことはありませんでした。それはおそらく僕自身に成長意欲がなかったからだと思いますが、逆に考えると今の僕にはこの本から感銘を受けるだけの成長意欲が生まれてきたのだという風にも受け取れるでしょう。

この感想文で何を語ろうかと悩みますが、今回は「この本を真に心で受け止める準備」について書いてみようと思います。
この本を読んだことのない方はもちろん、以前に読んだけどその後特に影響を受けていないという方に、良くも悪くもこの本から影響を受けるためのマインドセットについて考えてみます。

今回僕はこの本を読むにあたり「まえがき」を読みませんでした。 チラッと1ページ目を見た段階で「なんかめんどくさそうだな」と思ったので、目次もあまりじっくり見ずに本文を読み始めました。普段であれば要点を整理しやすくするために、前書きと目次を読んで「どんな内容が書いてあるか」をある程度予測してから読みますが、今回はその準備をせずに読み始めたのです。結果、それが心に響くことにつながったのだと思います。

このことが何を表しているかというと、「先入観を持たないこと」です。
事前に前書きや目次から内容を予想するというのは一見すると内容の理解を促進するようにも思えますが、場合によっては逆効果になることもあります。
そもそも「自分の知らないこと」を知るために本を読む場合、読む前から本の内容を理解することは難しいのは当然ですよね。「何を知りたいのか?」や「なんのために知りたいのか?」ということをはっきりとさせた上で本を読むことは効果的かもしれませんが、「これが学べるだろう」と早合点して本を読むことは決して効果的とは限りません。ある程度自分の中で仮説を立てた上で、本の内容と照らし合わせながら再構築していくことは良いかも知れませんが、この本に関してはそれはあまり効果的ではないかも知れません。

今回の本を読んで気づいたのですが、神田昌典さんはおそらくそういった「先入観」を壊すことに全力を注いでいます。

だから、基本的にはどんな先入観を持って本を開いたとしても、その先入観はどんどん攻撃を受けて破壊されます。
どうしても人は変化に対して守ろうとする力が働きますから、先入観をなるべく少なくした方が抵抗する力は弱まります。その分中身を受け止める方に意識が向くというわけです。この本を読むにあたっては、先入観をなるべくもたないようにすることが「真に心で受け止める」ことに繋がるでしょう。

では、先入観を捨てるにはどうしたら良いでしょうか?
1つは単純に、「この本からは影響を受けるもんだ」という先入観を持つことです。うがった先入観を上書きして、いわゆる信者になることです。この感想文もある意味でその先入観を持つことを目的としていると言っても過言ではありません。
この方法に関しては、僕は神田昌典さんの信者ではありませんし、感想文を通してあなたを神田昌典さんの信者にするほど僕の文章スキルは高くありませんから、実現はできないでしょう。もし信者になりたいなら、実際に神田昌典さんの講演会などに参加する方がよっぽど早いでしょう。

なので別の方法を考えます。先入観を上書きするのでは無く、捨てる方向ですね。
これは本を読むとかそう言ったことを越えて、「自分自身の考えの殻を破る」ことによって切り開かれます。

冒頭に、「今の僕にはこの本から感銘を受けるだけの成長意欲が生まれてきた」ということを話しました。これは僕の中で最近起きた大きな変化です。
今までも本を読んだり勉強会に参加したりと、成長意欲がある風には見えていましたが、本質はどうやら違いました。
これまでの僕の成長とは、「なれるであろう自分」になるための成長でした。これも成長したいという気持ちではありますが、普通に生きて普通にしているだけでかかる程度の負荷で成長できる範囲のことです。つまり、身体の基礎代謝と同じようなもので、頑張ろうが怠けようがほぼ同じところにたどり着くのです。
それに対して、「なれなさそうだと勝手に決めつけていたなりたい自分」になるための成長というのが、今僕が求め始めたものです。 たくさん努力をして、たくさん失敗をして、そうして少しずつ自分の限界を引き上げていく成長です。
もっと人間として高みにいくためにはこうした自分の限界を突破していくことが必要でしょう。消して楽な道では無いし、苦しいこともあるだろうというのがわかる分、怖くて目を背けてきた道でした。

しかしそこに向かおうという気持ちが湧いてくると、今まで「できるわけない」と見ないできたものが視界に入り始めました。 この本の内容もまさに、その1つだったわけです。

「できるわけない」「変われるわけない」という先入観を先に自分で破っていたことによって、この本が伝えようとしているメッセージがダイレクトに僕に届いたのです。 これが「自分自身の考えの殻を破る」ことです。

とはいえ、自分の考え方を大きくシフトすることは簡単ではありません。僕はたまたま今年に入ってからタイミングよく考え方を変える出来事が続いて、さらにそのタイミングでこの本を読んだだけです。意図的にタイミングを見計らったわけではないです。

だから先入観を捨てる方法としておススメできるのは、あらかじめ自分の意志を確認しておくこと、くらいかなと思います。
つまり、「変わりたいのか」「変わらなくてもいいのか」を考えておくことです。
別にどちらが正しいというわけじゃありません。どちらもあなたが選んだ方が、その時の正解です。
ただ、神田昌典さんのこの本を読むのであれば、それは何かを変えるチャンスになることは間違いありません。
「変わりたいのか」「変わらなくてもいいのか」を是非自分自身に問うてから、この本を開いてみてほしいと思います。