QE-LABO 札幌でフリーコピーライター/デザイナーとして活動する五十嵐渉による、
問い(Question?)と気付き(Exclamation!)の発信基地。いろんな問いをお届けします。

『アイデアのつくり方』を読んで

著=ジェームス・W・ヤング、訳=今井茂雄、版=CCCメディアハウス

1年以上前に次回予告をして、今更ですが感想文を書きました。 当時どんなことを書こうと思っていたのかは分かりませんが、今回改めて読んで感じたことを書こうと思います。
また、久々の感想文ブログで口調も変わっていますが、ご了承ください。
「わたるデザイン企画」として書くブログと口調に差が出過ぎないように最低限こちらでもですます口調で書くことにしたので、過去の記事を読んでいただくと違和感があるかもしれません。
ちなみに、「わたるデザイン企画」の方で書いた「創造力を考える」という記事でこの「アイデアの作り方」という本から引用したのがきっかけでこの感想文を書くことになったので、そちらも合わせて読んでいただけると面白いかなと思います。

と、前置きが少し長くなりましたが、本題の感想文です。
この本の凄いところはとにかく「短い!」です。前書きや解説を除いた本文は50ページほどしかありません。にも関わらずタイトルになっている「アイデアのつくり方」ということに関して、これ以上語ることがないというくらいにぎっしりと中身を感じられます。これほどまでに必要なことが分かりやすく簡潔にまとめられた本は出会ったことがありません。とにかくすぐに読み終わってしまうので、何か大事なことを見落としてしまったのではないかとすぐにもう一度読んでしまうほど、あっという間に言葉が流れていきます。
この本が書かれたのは40年以上前の外国ですから、例で出てくる言葉の中には今の時代ではなかなか分かりにくいことも当然ありますが、正直そういった部分をすっ飛ばして読んだとしても、なんら問題はありません。実際に核となる大事な部分は、ほんの数ページしかないからです。その部分を読んで原理と方法さえ把握できたなら、十分にこの本の価値は伝わると思います。
それほど完成された本だと思います。完成されすぎていて、今こうして文章を書いていても「同じ文字数でも自分の文章にはなんともまぁ中身のないことか」と嫌になるくらいです。

肝心の中身に関してですが、タイトルの通り「アイデアのつくり方」ということについて書かれているわけですが、僕が個人的にこの本を読んで良かったと思うのは2点あります。
1つは、自分がこれまで自分なりに考えてきたアイデアの作り方が大枠で間違っていなかったということです。
この本の中で核とも言える「アイデアを作る5つの過程」を 、僕はこれまでにある程度意識して実践できていました。 「自分にはアイデアを考える力がない」と思っている人でも、5つの過程の1つくらいは「あ、これは自分にも経験があるぞ」と思えることがあるはずです。(今僕のこの感想文を読むくらいに興味関心の守備範囲の広い方なら100%といっても良いくらいです。)
こうして自分の考えていたことが他の誰かによって言語化されるというのは、非常に大事なことだと思っています。自分でも自分の思考を言語化することはしますが、それが他人の言葉と比較されることによって、より原理・原則的な部分が明確になっていくからです。特に「経験」という段階で終わっている情報ほど意味をなさないものはありません。「自分が若い頃はなぁ」という話を何度も聞くことは忍耐力を育てるかもしれませんが、学ぶことは少ないです。その経験からどのような原理原則を見つけ出すかということを、僕は常に意識したいと思っています。 そういった意味で、自分の経験や考えを他人の言葉で整理できるというのは非常に大事だと思うわけです。
この本を読んで良かったと思うもう1つは、情報の収集がいかに大事かということを知れたことです。
この情報の収集というのは、先程少し話した「アイデアを作る5つの過程」のうちの一番最初の過程です。著者は「すべての過程において、その前の過程を完了するまで次の過程に入ってはいけない」といっています。つまり、この最初の過程をクリアしないことにはアイデアを作るという技術は絶対に習得できないということになります。 ですから、この感想文でも5つの過程をすべて語ろうとは思いません。とにかくこの1段階目が重要ということだけがわかっていただければと思います。
この本は定価も800円とリーズナブルですし、細かい内容は皆さん読んでいただくとして、この1段階目の「情報収集」について、少しだけ考えてみようと思います。

著者いわく、収集する情報は2種類です。
1つは当面の課題に関する情報。仕事や家庭の問題でもなんでも良いですが、そういった課題に関連する情報を集めるということ。何か商品を売りたいのであれば、その商品に関する情報を徹底して集めることです。著者いわく、案外この部分を徹底してできている人はいないのだそうです。一見他と変わらないと思うそれに対して、完全に他と違うものだと、アイデンティティを確率できるまでそのものを観察し、調べて情報を集める作業が大事だと言います。
もう1つは一般的な知識です。例えば歴史や音楽であったり、自分の仕事には到底関係ないであろう業種の知識であったり、そういった幅広いあらゆる知識に興味を持つことだ大事だと言います。
特にこの「興味を持つ」ということが大事だと感じてます。著者は優れたアイデアマンには2つの特徴があるといっていますが、意味合いとしては2つとも「好奇心と探究心旺盛な人」ということだったと思います。これらは「興味を持つこと」の1段階上の欲求で、「興味を持つことに夢中な状態」とも言えます。 著者は「一般的知識の貯蔵をたえず豊富にすること」と言っています。「たえず豊富にする」ためにはそれ自体が楽しくてしょうがないという状態でないと難しいでしょう。だから知識を得ることに夢中になる状態、「好奇心や探究心」を持つことが大事だと思います。その1歩目が「興味を持つこと」なのです。

興味を持つという感覚がイマイチわからないという方は、単純に「疑問を持つこと」だと思っても問題ないと思います。 なるべく、普段当たり前だと思っていることに対して「疑問」を持ってみるのです。
例えば今あなたがこの感想文をスマホで読んでいるなら、きっとここまで読み進めるまでに画面をタッチしてページを開いたり、フリックやスワイプをして画面をスクロールさせたりしたでしょうが、どうしてスマホの画面はそういった操作が可能なのでしょうか?パソコンの画面でもそういったタッチ操作が可能なものとそうでないものがありますが、その違いは何なのでしょうか?
普段当たり前に触れているものでも知らないことはたくさんあります。そういったことに疑問を持って考えることから始めてみると、少しずつ疑問を持つこと、興味を持つことが楽しく感じられるはずです。 そのうちに、答えのわからない疑問も持つかも知れません。そうなってくるともう「好奇心や探究心」のあふれる状態になっているのではないでしょうか。僕はそうでした。

アイデアのつくり方について、僕もまだその技術を習得途中ですが、この一番最初の過程を多くの人に身につけてもらうのが僕の願いでもあるので、今後もこの本を1つの指標に実践していきたいと思います。