QE-LABO 札幌でフリーコピーライター/デザイナーとして活動する五十嵐渉による、
問い(Question?)と気付き(Exclamation!)の発信基地。いろんな問いをお届けします。

『人生で大事なことは、すべて「書店」で買える』を読んで

『人生で大事なことは、すべて「書店」で買える。〜20代で身につけたい本の読み方80』を読んで

 

著=千田琢哉、日本実業出版

 

主催している20代の勉強会「ゼロ会」にて、読書に関するテーマのプレゼンを聞くなどして、改めて読書について考える機会があったので、以前にいただいて読んでいなかった本に手を伸ばしてみた。何と言っても、タイトルがテーマに合致しているからして、読まない手はない。

読み終わった率直な感想で言えば、「読みやすい」である。
見開き1ページの中に「題名」と「まとめ」が一目でわかるようにまとめられているので、見開きの頭とおしりを読むだけでも内容がわかる。時間のない中でもサクッと、しかも内容はなかなか核心をつくものが多いので、読書に苦手意識のある人でも読みやすい一冊だと思った。

この本には主に「1人で読書する」ことの大切さ、学べることにスポットを当てていると感じた。本を読むことで得られるコミュニケーション能力について書かれた章もあったが、基本は「1人で」本を読んで、それがコミュニケーションに活きますよという話であったと理解している。
この本に書いてあることのほとんどには僕自身も実感があり、ニートだった僕が外に出てコミュニケーションに苦手意識を持たなかったのは、ニート時代の読書のおかげであるという確信もあるし、読書から得られるものの大きさというのには著者に大いに共感できる。

しかし最近僕が読書に対して強く感じているのは、「2人以上で一緒に読書することの有意義さ」である。つまり、1人で読むだけが読書じゃないよなぁということである。
前回の記事『世界一やさしい読書習慣定着メソッドでも少し語ったところではあるが、最近特に、それを強く感じる。

 

そもそもなぜ本を読むのか?というところに、その感覚の核があるのではないか。
つまり、僕が何を求めているかというところに、僕が読書に対して抱く感情の答えがあるのであろう。

 

社会に出て働くようになって、様々な人、言葉に出会う中で、少しずつ「行動する」ということができるようになってきたと感じている。
もともとニートであったことからもわかるように、僕はその「行動する」ということに苦手意識が強い。行動するということは能力の問題ではなく意識の問題であるから、苦手意識があるというのは、行動することにおいて大きな障害となる。
それでも生きていくには行動しなければならないわけで、嫌が応にも動かなければならないことが日々ある。そうした中で失敗も成功も経験しながら、少しずつ苦手意識が薄れてきたところではあるが、その時に大いに助けになったのが「言葉」である。

勉強会で会う先輩方や仲間の言葉、お仕事で会う方の言葉、知人友人からの言葉など、直接人からもらう言葉もあれば、本やネットの記事、お寺の掲示板に貼ってある言葉など、活字になった言葉もある。
そういった数々の言葉が、知恵や勇気を与えてくれるからこそ、僕は行動することができるのだと思う。実際に経験することが一番大きな学びになることはわかっているが、なんせ最初の一歩の行動ができなければ、経験を得ることはできない。
だから「言葉」が大いに役に立つ。
言葉はそこら中に溢れていて、自分で選んで手に入れることができる。「行動したい」と思うなら、それに必要な言葉を集めれば良いのだ。
本であれば、自分に必要なタイトルを探せば良いし、一度良いと思った作者の別の本を探せばいい。

 

そういった段階を経て、行動に対する苦手意識というのが薄れ、むしろ楽しみや喜びを感じられるようになった今、僕が求めているのは何か。
それは「思い込まないこと」である。
「自分はこういう人間だ」とか「仕事ってこういうものだ」とか、そういった固定観念をなるべく持ちたくない。そういう思い込みを持てば持つほど、「他人の言葉から学ぶこと」ができなくなっていくからである。

多くの人は、歳を取るにつれて人の話を聞かなくなるというのは、当然のことのように思っているかもしれない。年寄りは頑固で、考え方を変えられる人なんていないと。
60代を過ぎても柔軟な考えを持って人と関わることができる人というのは少ないのかもしれない。だけど、そうでない人もいるのは確かである。大きな功績を残す人は必ずどこかで謙虚な姿勢を持っていて、自分の考えが必ず正しいと思う人はいない。
これはどういうことかというと、そういった人たちは頑なに「変わることを恐れない」という考えを貫いているからだと思う。つまり彼らも普通の人と同じように、歳を取ることで頑固になってはいると思うが、彼らが頑固に守っている考え方自体が「変化」を孕んでいるのだ。
僕がなりたいと思うのは、そういった姿である。

 

本の話に戻ろう。
かつては「行動するための勇気を得るため」に本、ひいては言葉というものを求めていたが、今は「変わることを許容する人間になるため」に本や言葉を求めているのである。
1人で読書をするというのは、ある意味変化とは逆の効果もある。本を読んで、自分を肯定する部分だけを読み取ったり、そういう解釈をすれば、読書の前と後で何も変わらないということは容易である。それでは前進はするかもしれないが、舵をとることは難しい成長しかできないのだと思う。
だから、自分以外の考え、解釈に触れたいと思う。読書においてもそれは同じで、1人で読んだら、他の人の解釈にも触れたいと思う。
それが今の僕の読書に求めることである。

人生で大切なことはすべて書店で買える、というのは一つの真実であると思う。
だが真に大切なのは「自分にとって人生で大切なことはなんなのか?」という問いであると思う。幸い、書店に行けばその問いかけには簡単に出会うことができるはずである。まずはそんな本に出会うことができれば、まさに書店で人生の大切なことを手に入れられるのではないだろうか。